蔵書統計を作成できない指定管理者(海老名市立図書館 H27.10月業務報告書)

 情報公開請求により「海老名市立図書館 指定管理業務月間報告書 平成27年10月」を入手した。

  ネット上だけでなく、各種マスコミでも取り上げられた海老名市立中央図書館の「選書問題」「分類問題」「わかりにくい配架」などの問題点を、指定管理者であるCCCがどのように捉え改善していこうとしているのかに興味があったのだが、それ以前に資料の入れ出しをまとめた「10月分受払統計」が報告書に含まれていないことに気付いた。

 

(参考)9月業務報告書の資料として付けられていた9月受払統計。

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 公開用資料を準備する際にコピーを取り忘れたものかと思い、海老名市教委に問い合わせたところ下記説明。

  • 10月の受払統計は指定管理者から提出されていない。
  • 業務報告提出時に「中央図書館リニューアル時に図書館システムが変更になったこともあり、統計作成作業が報告書提出に間に合わなかった(*翌月10日までに提出)。11月業務報告書提出時に合わせて報告する」との説明が指定管理者からあった。

 

 システムを更新し本番運用する前に仕様書通りに稼働するか運用テストを行うのは当然のことで、必要な資料/帳票が作成できるかチェックすることはそのテストの中に含まれているはず。ろくなテストも行わず本番稼働させたのであれば指定管理者の落ち度であり、指定管理者の「説明」は出来の悪い言い訳としかとれない。

 リニューアルオープン直前に発覚した選書問題やオープン後に問題となった図書分類(海老名分類)に対し場当たり的な対応を行ったせいで蔵書データがグチャグチャになり、統計資料を出せる状態ではないというのが実態ではないかと思う。

 

 「受払統計」が期日までに提出できなかった原因がどのようなものであれ「資産管理も行えない低レベルな事業体」であることは間違いない。

 

 10月業務報告書を読み気になった点としては、

 

追記:添付資料に関する記載

9月業務報告書(総括)ページ

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10月業務報告書(総括)ページ

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 (なんか不自然。)

 

 

海老名市、図書館運営に関する海老名市長/CCC副社長/TRC社長との面談内容を隠蔽?

 海老名市立図書館は2014年4月からCCCを代表とする「TRC・CCC共同事業体」が管理・運営を行っており、2015年10月1日にCCCが管理・運営を行う中央図書館が2014年11月末から行っていた改装工事を終え、リニューアルオープンした。

 このリニューアルオープン直前の市議会で約8,300冊のCCC選書リストの中に「おろし金やタジン鍋が付録としてついている本」や「メガネ拭き」が含まれていることを飯田市議・山口市議が追及、教育委員会は「選書リストはあくまで予定のもので、これから一冊一冊、再選書を行う。」と答弁。

 リニューアルオープン後には、教育委員会が再選書したはずの図書の中に海老名市の選書基準に照らして不適切なものがあることや、「出エジプト記」が「旅行/海外旅行/アフリカ/エジプト」になっている等おかしな図書分類・配架等の問題点が露わになった。

www.kanaloco.jp

headlines.yahoo.co.jp

 

 その後、共同事業体を組んでいるCCC・TRC間の対立に関するニュースが相次ぐ。(TRCが仕掛けた情報戦との見方も...)

  • 10月24日 

www.kanaloco.jp

 「だが市民の図書館への関心を高めた裏で、2社は中央館を舞台に勢力争いを繰り広げていた。」

 

  • 10月26日

www.nikkei.com

 

  • 10月27日

【新文化】 - TRC、指定管理者のパートナーCCCと提携解消 (記事が差し替えられため魚拓。)

「TRCは10月23日にCCCとの提携解消を海老名市教委に申し入れた。」との記事。

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www.huffingtonpost.jp

 

  • 10月29日 (取材日は10月中旬)

toyokeizai.net

 

 この動きを見てなのか、海老名市長は10月27日にCCC武田副社長、TRC石井社長とそれぞれ面談、翌28日には三者での面談を行い、海老名市立図書館はこれまで通りの体制で運営されることが確認された。

海老名市 - 市長の一日(平成27年10月分)

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www.huffingtonpost.jp

 

 

 長い前段となったが、図書館の指定管理を行っている共同事業体からTRCが離脱する可能性がある中でどのような話し合いが行われたのか興味があり、27日/28日の打合せ内容についての情報公開請求を「海老名市長」及び「海老名市教育委員会(図書館を管掌)」に対し行った。

 CCC/TRC間の対立が報道され「図書館が運営できなくなるのでは?」との懸念がある中で行われた面談であり、当然記録が残されているものと考えていたが、両者とも「文書不存在」。

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 海老名市に電話で確認したところ「打合せには下の者は参加しておらず(海老名市側の参加者は内野市長のみとの意味)記録は取っていなかった」とのこと。

 

 10月30日に行われた市長定例記者会見で内野市長は海老名市立図書館リニューアル前後からの諸問題に触れ、海老名市教育委員会名で 海老名市発表: 市立図書館の指定管理者による運営について(PDF) (山口市議H/Pより) という文書を出しているが、内野市長は内容の指示を口頭で行い職員に作成させたとでも言うのだろうか?

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海老名市立中央図書館 2F・3F 配架図

 

 館内の書架配置が入り組んでいるため本の見つけにくさと相まって「迷宮のようだ」と言われている海老名市立中央図書館。(ツタヤ館海老名店)

 2Fにはジャンルが書かれた書架の見取り図が掲示されるようになりましたが、その他の階にはありません。

 

 先日、3Fで本を探していてあまりの配置の分かりずらさに若干キレ気味で「2Fに掲示してあるような配架図はありませんか?」と職員さんに尋ねたところ、2F・3Fの配架図をコピーさせてくれました。

 

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 海老名市立中央図書館の管理者であるCCCさん、見た目や雰囲気を重視するのは良いですが、肝心の図書館が使いづらいのでは意味がないので各階に書架の配置図を置いて頂きたいものです。